2017年10月18日

「登山者のブックシェルフ」第1回目の補足。

3月で連載終了した「山岳遭難防止術」に引き続いて、今月からまた『週刊ヤマケイ』で連載を始めました。
タイトルは「登山者のブックシェルフ」。
私が読んだ山の本の中から、読んで面白いと感じたものや、自分が登山をする上で影響を受けたものを選び出して紹介する、といった内容です。
第1回目は、以下のリンク先から読むことができます。

▼「登山者のブックシェルフ」第1回目が掲載されている週刊ヤマケイ

週刊ヤマケイ2017年10月5日配信通巻264号

こちらに書いてある通り、今回は私が本格的な登山の入り口に立ったときに、その登山に同行した杉浦くんという友人から勧められて読んだ5冊の本を紹介しました。
ただし文字数の関係もあってあまり自分の感想を書くことができなかったので、以下に補足したいと思います。
なお本の表紙画像は、すべてAmazonへのリンクとなっています。

『山男たちの死に方――雪煙の彼方に何があるか』

ノンフィクション作家の山際淳司氏が書いた、読みやすい本です。
この本が出版された、1983年以前のアルピニズムというか、先鋭的登山の概要をつかむには良い内容だと思います。
ただしテーマは、タイトル通り山での死。
まえがきで引用されているジャン・コストというクライマー(ちなみにこの人も若いうちに山で死んでいます)の言葉をここにも引用します。
どう考えても山における死はひとつの特権なのだ。それは無駄な死ではない。最も力強い物象の真只中で、全力をつくして闘っているときに、生命を失う事は、死に甲斐のある事なのである。
まさにこの言葉が、この本の内容を一言で言い表していると言えるでしょう。
ただ、少々山での死を美化し過ぎのように感じないでもありません。
なおこの本には、以下の4人(森田勝氏、松田弘也氏、小西政継氏、加藤保男氏)ともが登場しており、これから山の本を読んでみようという方の最初の1冊には良いと思います。

『狼は帰らず――アルピニスト・森田 勝の生と死』

ノンフィクション作家の佐瀬稔氏が書いた本で、こちらも読みやすく仕上がっています。
登山界で“一匹狼”と称された森田勝氏の、力強い登山への取り組みを追った名著です。
この人も最後は、ヨーロッパアルプスのグランドジョラス北壁で墜死するのですが、死そのものよりも、生き方を中心に取り上げられていて、非常に共感できる内容です。
この森田氏は、山に登る時間を作るために次々と職を変えているのですが、仕事よりも山を優先するそういった姿勢に影響を受けて、私も30代前半まではかなり職業は転々としたものです。
それでも私は登山に対する取り組みは甘くて、大したクライマーにはなれなかったのですが。。

『ミニヤコンカ奇跡の生還』

1982年の千葉県の市川山岳会による中国のミニヤコンカ山の遠征隊で、アタック隊員だった松田宏也氏の手記。
とは言いつつも、別のライターが手を加えているので純粋な松田氏の著書ではなく、少々過剰な状況描写になっています。
それでも内容は強烈で、登頂を断念して下山するものの遭難状態に陥ってしまい、食料も燃料もないなか、幻覚を見ながらも奇跡的に生還するという壮絶さ。
特に下山中に、雪稜の上に赤い鳥居(日本の神社にあるやつです)の姿が現れる場面があるのですが、極限状態に陥るとそういうものまでもが見えてしまうのかと、読んでいてゾッとしました。

『グランドジョラス北壁』

1980年前後、日本の先鋭登山を牽引していたに違いない、山学同志会の小西政継氏。
その小西氏が1970年12月にヨーロッパアルプスのグランドジョラス北壁を登った際の手記です。
このときは途中で大寒波につかまって、メンバー6人のうちの4人が凍傷を負い、全部で27本の指を切断することになったという、やはり恐ろしい結末です。
個人的にはこういった難易度の高いルートに6人という大人数が連なって登ったのが良くなかったのではないか…と思うのですが(通常はこういったルートは2人か3人で登るものです)、何かそうしなければいけない理由があったのでしょうか?
なおこの本は専門のライターではなく、小西氏自身が書いたものです。
けれども小西氏は非常に文章が上手な方であり、とても読みやすく仕上がっています。

『雪煙をめざして』

存命時には芸能人に匹敵するくらい、人々から大きな注目を集めていたという加藤保男氏の著書。
爽やかな内容で文体は素直ながらも、ちょっと書き慣れていないのかな?という印象も受けます。
それでもヨーロッパアルプスやヒマラヤに精力的に通い続ける、その内容には驚きを感じました。
この方が亡くなったのは、1982年の12月。
冬のエベレストに登頂し、そのまま下山しなかったのです。
そのことはニュースでも大きく取り上げられていたみたいですが、当時高校生だった私はまだ登山にはまったく興味がなくて、そのニュースを耳にした記憶はありません。。

『岳人列伝』

上記5冊の本を貸してくれた杉浦くんからは、実はもう1冊、本を借りていました。
それがこの『岳人列伝』、少年サンデーで不定期連載していたマンガをまとめたものです。
マンガなのでつい割愛してしまいましたが、文字数に限りがなければこれもぜひ紹介したい本でした。
ただしやはりテーマはクライマーの死。
いや、死ぬことが解っていても登らなければいけないと感じるクライマーの業、と言ったほうが正しいのかも?
なかなか心に迫ってくる内容ではありますが、この本の登場人物みたいな気持ちで山に向かったら、早死にするのは間違いないでしょう。
フィクションとして読む分には、とても楽しめると思います!

「登山者のブックシェルフ」、第2回目は明日配信される『週刊ヤマケイ』に掲載されます。
こんどは上記6冊とはまったく傾向の違う本を紹介しますので、そちらもぜひ読んでみてくださいね。

なお『週刊ヤマケイ』以下から無料購読の申し込みをしておくと、毎週木曜日に EPUB版のダウンロードアドレスと、HTML版の閲覧アドレスが記されたメールが届くので便利です。

▼週刊ヤマケイのウェブサイト

週刊ヤマケイ

2017年10月14日

風が強かった栗駒山。

東北からは、予定通りに帰ってきています。
11日は当初は岩手山を登る予定でしたが、雨のため中止に。
石川啄木記念館、宮沢賢治記念館の2つの施設を巡りながら南下し、栗駒山の宮城県側山麓へ移動。
12日は栗駒山を登ってきました。

東栗駒山付近から見上げた栗駒山。

栗駒山は、山頂部一帯の紅葉は終わっていたものの、登山口となるいわかがみ平付近は見事な色づきでした。
コースは東栗駒コースを登って山頂に立ち、中央コースから下山。
ただし東栗駒山付近では、猛烈な風に吹かれて苦しみました。
瞬間最大風速は20mを超えていたでしょう。
私が行動をする、ほぼギリギリの風の強さでした。

帰宅後、昨日は先週からずっと書き続けてきた、まとまった量の原稿の最後の1ページを執筆。
しかし山行の翌日というのは、疲労感から頭があまり働きません。
今回も妙に手間取ってしまいました。

今日は溜まった事務仕事を処理しつつ、このブログの宣伝ページにも手を入れました。
特にこんど、「トラベルギャラリー 旅の本棚」という旅行会社で中級者向けの登山教室を5回に渡って実施することになったので、それを「ツアーと登山教室」のページに追加しています。
興味のある方は、上のタブからぜひご覧になってみてください。

その他、『週刊ヤマケイ』で新しい連載を始めたのですが、それについてはまた後ほどお知らせします。

明日は次の登山の段取りをするほか、その連載の第2回目の分の原稿執筆をする予定です。

2017年10月10日

これから東北に向かいます。

夏の山行終了後は、ひたすら原稿を書く日が続いています。
9月30日には風の登山教室で大菩薩嶺の滝子山へ、10月1日には山岳ライターの小林千穂さんさんをアシスタントに迎えたガイドプランで愛鷹連峰の越前岳に登ってきたのですが、山行の様子を報告する余裕もなく既に10日が経ってしまいました。。

登山口から4時間45分かかってたどり着いた日留賀岳の頂上。

昨日までの3連休はというと、8日には栃木県の高原山へ。
9日はやはり栃木県の、日留賀岳を登ってきました。
いずれも書籍に載せるための写真撮影が目的なのですが、その本が仕上がるのは1年半後の予定なので、皆さんにご案内できるのはまだまだ先です。

今日は今から、東北に向かいます。
栗駒山の紅葉を見ようというプランなのですが、天気が今ひとつ。
気をつけて行ってきます。

2017年9月24日

夏の山行は一段落。

7月から続いてきた一連の夏の山行は、16日に下山した槍ヶ岳で一段落しました。
しかし下山後も原稿執筆、机上講習、長時間に及ぶ打ち合わせなどが続いてずっと時間に追われていましたが、おとといの金曜日に週刊ヤマケイ特別号の原稿を書き上げて終了!
その後半日くらい昼寝しまくって、昨日からは夏の山行の写真整理を進めてきました。
そしてつい先ほど、ご一緒いただいた皆さん全員に、山の写真を送り終えました。
ほっと一息です!

これは先日登ってきた槍ヶ岳。コースは北鎌尾根でした。

さてこの後はというと、週刊ヤマケイの新連載や、次号TRAMPIN'などの原稿執筆依頼が相次いでいるため、それほどゆっくりはできません。
明日からはまた、バリバリと原稿を書き進めます!

ガイドプランの予定は?というお問い合わせもあるのですが、スケジュールをみて適宜追加していきますので、少々お待ちください。
よろしくお願いします。

2017年9月13日

これから松本へ。

今月に入ってからも、南アルプス、北アルプスの山行が続いています。
それでも山行の合間には3日間ほどは家にいるのですが、ガイド以外の仕事でけっこう多忙です。
原稿執筆や、それに付随した各種事務処理、打ち合わせなどがあって、ほとんど休まずに働いている感じです。

先日登ってきたジャンダルムの頂上で写した天使!

8月以降の山行にご一緒した方で、まだ山行中のお写真を送っていない方も多いのですが、もうしばらくお待ちください。
たぶん今月中には送れると思うのですが。。

また10月1日に実施予定の、山岳ライター・小林千穂さんをアシスタントに迎えての愛鷹連峰・越前岳登山の案内は、17日にメールで送る予定です。
遅くなって申しわけありませんが、ご参加予定の方はもう少々お待ちください。

また23日~24日で実施予定だった風の旅行社の谷川岳の登山ツアーは、不催行となってしまいました。
お申し込みくださった皆様、すみませんでした。。

今日はこれから、松本に向かいます。
夜は私が以前大ケガをして入院したことのある、相澤病院で働く国際山岳医の先生と飲む予定です!

明日からは3日間の日程で、槍ヶ岳に向かいます。
帰ったら外出の予定はないのですが、原稿の締め切りが2件あるのでもうしばらく多忙。。
それが終わったら、少し余裕ができそうな見込みで嬉しいです!