2013年7月10日

マッターホルン・ヘルンリ稜敗退。

ヘルンリ小屋に宿泊した翌日、いよいよこの日が、マッターホルン(4478m)の山頂を目指す日です。

ヘルンリ小屋には、起床は03:30以降との張り紙があったので、起きだしたのはその時間。
用意されていたパンやチーズを口にして、準備を整えて出発。
出だしはまだ暗く、ヘッドランプを灯しての登りとなりました。

ちなみにこの日、マッターホルンを目指す他のパーティはなし。
我々二人だけで、ヘルンリ稜に取り付くことになったのでした。。
マッターホルンの一般コースであるヘルンリ稜のルートは大変に複雑で、取り付きのフィックスロープを登ってからしばらく歩いて、まずは第1クーロワールを横断します。
その先、左から回り込むようにして先ほど渡った第1クーロワールの上部に出て、傾斜の強い左壁を直上。
またしばらく歩いて今度は第2クーロワールを横断し、その先の岩場を直上。
すると何かの機器が設置された傾斜の緩い稜に出るので、そこから見上げると頭上のフェースにフィックスが下がっており、それを目指します。
フェースを越えて少し岩尾根を歩くのですが、やがて行き詰まり、何日か前のトレースをたどりつつ、雪壁をトラバースして東壁の方に入っていきました。

そしてその先は、今は東壁をずっと登るようになっているはずだったのですが…今年は例年にない残雪量(7月上旬としては、この30年で最も多い、とのこと!)であり、東壁には雪壁が続いていました。。
しっかりした雪壁であれば、アイゼンを履いてそれをたどることも可能でしょうが、壁から浮いたような、不安定で中途半端な雪壁です。

そこでルートが違っていることを知りながらも、再びヘルンリ稜の、雪のあまり着いていない稜そのものを目指して、100mばかりそれを登ったのでした。
けれども程なく行き詰まり、20mくらいの懸垂下降で東壁に戻りました。

その先は何とか雪をかわし、岩を拾いつつ必死に上を目指して行きます。
頭上には威圧的なツルムがそびえていますが、ルートはこれを左からかわします。

ちょっとしたスラブ帯になっている、ツルムの左手を登っているところ。

そしていよいよ頭上に、ヘルンリ稜の中間地点となるソルヴェイ小屋が見えてきました。
そのソルヴェイ小屋の直下が核心部であるモズレイスラブ(III-)。
モズレイスラブの手前は固く凍結した雪壁となっていたため、面倒ですがアイゼンを履いてそこを通過。
岩に出たところでアイゼンを脱いで、岩場を突破しました。

たどり着いたソルヴェイ小屋。
標高は4003mです。
しかし…この時点で、すでに予定時間の倍を費やしてしまっていました。。
まあ、中途半端な残雪の多いこの状況では、やむを得なかったことでしょう。

とは言っても時間切れであることは、もうどうにもできず、ここを最高地点として敗退することを決定したのでした。

ヘルンリ稜の下降は、モズレイスラブ以外は通常は歩いて下るのが普通とのこと。
しかし今回は、途中で天候が急変。
風雪に見舞われた時間も長く、そのほとんどを懸垂下降で降りることになってしまいました。。

これはやっと風雪が過ぎ去って、雪壁をトラバースしているところ。
登りだけでなく下降に要した時間も長く、この先、程々の広さ(1.5m四方くらい)のテラスに腰掛けて、ビバークをすることにしました。

今回の同行者はビバークが初めてとのことで、少々辛そうな様子。
しかし私はもっと悲惨なビバークを何度もしているので、このくらいだったら別に苦痛はありません。
けっこうお気楽な気分で、横になったり縦になったりしながら、朝が来るのを待ったのでした。

▼参考書籍

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