2013年12月7日

ファーストエイド義務講習。

日本山岳ガイド協会による、ファーストエイド義務講習に参加することになりました。

ファーストエイドとは傷病に対する救急手当、応急処置のこと。
人々が日常を過ごす場では、救急車を呼ぶことができるためそんなに重要ではないのかも?しれませんが、車道のない山岳地帯には救急車が来ることはありません。

したがって登山ガイドのみならず、登山を志す人には必須と言える技術。
とは言いつつも山岳を仕事の場とする我々は、より一層、確実な技術が求められるということで、今回の講習は「義務」という扱いです。

講習の期間は4日間。

この4日間をフルに活用し、人の体の基本を学び、それから救急手当の基本を練習して、実際の山岳地帯での傷病を想定したシュミレーションを繰り返すという、密度の濃い内容です。

登山の疲労とトレーニング

1日目はまず、座学から始まりました。
講師は登山の運動生理学を研究している、鹿屋大学の山本正嘉先生です。

ファーストエイドのその前にということで、登山とはどのような運動なのかを分析。
その上で現代の登山者の体力面での弱点と、トレーニングの盲点について考え、山でのさまざまな疲労対策について教えていただきました。

特に興味深かったのは、登山者の体力を調べた際の分析結果。
山での体力には、年齢、性別、経験はまったく関係ないのだそうです。
関係するのは直近1年間の、年間登山日数。

現在、どのくらいの頻度で山を登っているかのそれだけが、登山に際しての体力を左右するのだそうです。

山の栄養学

続けて、栄養学の指導をされている、飯田範子先生より、食事と栄養の役割についての説明を受けました。

人間の体を車に例えて、エネルギーはガソリン、ビタミンはエンジンオイル、タンパク質は車体、ミネラルは部品類と、解りやすく栄養素の必要性を再確認。

その他、持久力を必要とされるスポーツで取り入れられる、カーボローディングの方法や、効果的な水分補給のポイントについて教えていただきました。

以上、ファーストエイド以前の基本的な事故防止のための体についての知識を学んでから、いよいよ本番です。

傷病者の重症度と緊急度

講師は、NPO法人災害人道医療支援会に参加されている、救急医の苛原隆之先生。

山岳地域という医療から隔絶された現場で傷病者に遭遇した場合に、すぐそばにいる人が限られた人材、道具の中で、その傷病者の救命・救助のために最大限に努力すること、というように、山岳におけるファーストエイドを規定。

そのためには、傷病者の観察を的確に行ない、重症度と緊急度を判断し、状態に応じた処置を行う、ということでさまざまなご指導をいただきました。

これは心肺蘇生法の実習の様子。
最近は山小屋の多くにも設置されている、AEDの使い方を練習しています。

しかし山小屋で離れた状態では、胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸という、以前からの手段を用いることになります。
本当に山岳地帯でのファーストエイドには、難しいことが多いと再認識しました。

三角巾と包帯法

実技もいよいよ次のステップ。
看護師の吉岡るみ先生による、三角巾と包帯の使い方の練習です。

これは私が行った、三角巾での頭部保護。
私も日本赤十字社救急法救急員の資格を持っており、基本的なことはできるつもりでしたが、忘れていることもいろいろありました。
やはり定期的な練習が必要だと思いました。

現場での病態評価法

実技が一段落したところで、再び座学。
次の講師は金田正樹先生。
凍傷治療の専門家であり、日本で雪山登山をする人ではその名を知らない人はいないくらいの、高名な外科医の先生です。

まずこの講義では、意識の見方、脳神経の見方、筋力の評価法、脈の見方、などなどをご指導いただきました。

凍傷と低体温症

続けて、2009年のトムラウシ大量遭難で大きな話題となった低体温症、および金田先生の専門である、凍傷について。

低体温症については、実際の事故事例に基いて、症状や対処方法を教えていただきました。

凍傷については、生じることの多い水疱はぜったいに破らないということと、何よりも早く加温をするということを強調。
そしてその後は、実際の凍傷事例の写真がスクリーンに映し出されたのですが…気持ち悪い!…です。

凍傷で腐って、ボロボロになった手足の写真が次から次へ。
その手の写真に弱い私は、少々ぐったりしてしまいました。。。

それでも凍傷を負うのは、初歩的なミスをした場合がほとんど、とのこと。
こういった事例を教訓に、絶対にお客さまが凍傷になることはないよう、また自分もならないようにしようと、強く思いました。

▼参考書籍

   

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