2014年2月9日

『アグルーカの行方』。

探検家、ノンフィクション作家である角幡唯介さんの本を続けて読んでいます。

3冊目は、現時点では最も新しい著書である『アグルーカの行方』。
サブタイトルは「129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極」。

ヨーロッパから北アメリカ大陸の北岸をたどって、太平洋へと抜ける北西航路。
その存在が確認できていなかった19世紀の半ばに、それを探し求めたイギリスのフランクリンが率いた探検隊は、メンバー129人が全滅。

その165年後に、徒歩でフランクリン隊の足跡をたどった記録を記したのが、この本です。

本の目次は、以下の通り。
  • 序 章 レゾリュート湾
  • 第一章 バロウ海峡 ― 乱氷
  • 第二章 ピール海峡 ― 未知の回廊
  • 第三章 ビクトリー岬 ― 暗転
  • 第四章 ワシントン湾 ― 遭遇
  • 第五章 グレートフィッシュ川 ― 約束の地
  • 第六章 不毛地帯 ― 混沌
  • 終 章 キナパトゥの国
まず思ったのは、この本は北極探検についてと非常に解りやすい入門書である、ということ。

北極と言えば植村直己の犬ぞりか、でなければそれこそ19世紀から20世紀初めの歴史的探検のことが思い浮かべられ、今ひとつ面白さが解らなった、というのが正直なところ。
今でも北極点や北磁極を目指す探検家は多いのですが、いったい何が楽しくて行くのだろう、という印象を持っていたのでした。

しかし実際はGPS(角幡さんはそれを否定して、今では六分儀を使っていますが)を駆使し、迷路のような北極海の島嶼群をすり抜けて、寒さと野生動物に対峙しながらゴールを目指すという、登山にもまったく劣らない知的な、魅力的な行為だったのです。

私は影響を受けやすいので、本を読んで自分でも実際に行ってみたくなりました…。

ところで本のタイトルになっている“アグルーカ”とは何のことかというと、イヌイットが言うところの“大股で歩く男”。
背の高い、果断な性格の人物を表する、愛称のような言葉だったようです。

フランクリン隊では隊長であったフランクリンは早々に亡くなってしまう訳ですが、“アグルーカ”であった副隊長のクロージャーは生き残り、北極圏からの脱出を目指してらしいのです。

そのクロージャーが、目的地としていたであろう場所が、“キナパトゥの国”。
角幡さんは、その“アグルーカ”クロージャーの足跡を追って“キナパトゥの国”を目指して旅をするという、なかなかにロマンチックな内容の本。

いきなり寝小便をもらした話などを書いてはぐらかしてもくれますが、大変にさわやかな読後感をもたらしてくれる本であり、私はますます角幡さんのことが好きになりました。

ちなみに角幡さんは、現在はグリーンランドに遠征中。
ウィルミリックという名前の可愛らしいわんちゃんと一緒に、一日中太陽の登らない、“極夜”の北極圏での、新たな旅のスタートを切っている頃だと思います。

▼角幡唯介さんのブログ

ホトケの顔も三度まで

▼角幡唯介さんの著書

   

▼参考書籍

   

▼植村直己さんの著書

   

0 件のコメント:

コメントを投稿