2014年2月9日

『空白の五マイル』。

探検家、ノンフィクション作家である角幡唯介さんの本を読んでいます。

2冊目は事実上のデビュー作と言って良い、『空白の五マイル』。
サブタイトルは「チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」。

1992年に中国と日本の合同隊によって初登頂された、当時の世界最高未踏峰であったナムチャバルワ(7782m)の北側を流れる、世界最大の大渓谷を単独で踏破した記録です。

この本が出たのは2010年。
私も手元には持っていて、ちょっとずつつまみ読みはしていたのですが、今回やっと最初から最後まで通して読んだのでした。

本の目次は、以下の通り。
  • 第一部 伝説と現実の間
  • 第一章 一九二四年
  • 第二章 憧憬の地
  • 第三章 若きカヌーイストの死
  • 第四章 「門」
  • 第五章 レース
  • 第二部 脱出行
  • 第一章 無許可旅行
  • 第二章 寒波
  • 第三章 二四日目
読んだ感想の第一は、わかりりやすい言葉で書かれた、とても読みやすい本だな、ということ。
構成も絶妙です。

うっかりすると難解になりがちな探検史というものを、自分自身の体験や、最近起こったイメージしやすい事故などと対応させて、とてもわかりやすくひも解いています。
コンボ・チュラク―水の消えるところ。巨大な峡谷部に吸い込まれ、ヒマラヤの山中にいつの間にか姿を消すツアンポー川は、「謎の川」として、古代チベットの人々からそう呼ばれてきた。
文中にも以上のように書かれていますが、チベット高原を流れるツアンポー川というのは、ナムチャバルワの北側であまりに急峻なゴルジュになって、上から見なければまるで山中に姿を消すように見えるのだとか。

昔からその謎は探検のテーマになって、消えるのではなくてインドのプラマプトラ川に流れ込むということが確認されても、その人跡未踏のゴルジュ帯「空白の五マイル」には巨大な滝があるとか、ないとかで21世紀の現代でもまだ探検家は競って現地に足を運んでいる状況。

その中に角幡さんも名乗りを上げて、単独で探検を行う、というなかなか素晴らしいドラマのようなノンフィクション。
手に汗握る展開で、一気に読んでしまいました。

実は私も若い頃は、「探検」というのにちょっとだけ憧れたこともありました。
しかし20代~30代前半の頃は登攀に明け暮れており、そういった思いは憧れに終わりました。。

角幡さんは最初から探検を目的に活動されてきた方ですが、テーマの見つけ方が上手です。
そういうセンスもあるのでしょうが、読書の量、および読解力にすぐれるのでしょう。

先に上げた探検史のひも解きも、多くの文献を読みこなしたからこそできること。
そういった訳で、この本は角幡さんのツアンポー峡谷単独踏破の記録であると同時に、膨大な読書から導き出されたツアンポー峡谷研究の成果を著した本という側面もあるのです。

本当に良い本です。

▼角幡唯介さんのブログ

ホトケの顔も三度まで

▼角幡唯介さんの著書

   

▼参考書籍

   

0 件のコメント:

コメントを投稿